この街を語る上で欠かせないのが、ポップカルチャーにおける象徴的な役割だ。特撮・SF映画ジャンルに燦然と輝く名作『シン・ゴジラ』(2016年公開)において、映画監督の庵野秀明氏が自衛隊の「タバ作戦」の防衛線として選んだのが、まさにこの武蔵小杉駅周辺の超高層ビル群だった。
劇中でゴジラを迎え撃つべく重火器が配置された多摩川河川敷や、ビル群のシルエットは、当時のファンに鮮烈な印象を与えた。公開から10年が経過した現在も、聖地巡礼に訪れるファンは絶えない。整然と立ち並ぶ最新のタワーマンション群を見上げると、スクリーンの中で繰り広げられた激闘の熱量が鮮明に蘇ってくる。
ロケ地となった周辺のカフェには、映画の絵コンテや関連展示を掲示する店舗もあり、カルチャースポットとしての熱気も保たれている。スクリーンの破壊劇を経て、現実の街はより強く、より魅力的に成長を遂げていた。