年齢に関わる言葉のチョイスは、ビジネスマナーにおいて信頼関係を左右する極めてデリケートな要素です。結論から言えば、現代のビジネスシーンや私的な対人関係において、他者に対して「初老」と呼ぶのは完全にタブーと心得るべきです。
「初老」という語は、あくまで「自分自身の加齢を少し控えめに、謙遜して表現する(自称・謙称)」ためにのみ用いるのが現代の標準的なマナーです。たとえば、40代後半や50代のビジネスパーソンが「私も初老の身ですので、最近は徹夜が厳しくなってまいりました」と自虐を交えて使う分には、ユーモアとして機能します。
しかし、取引先の役員や職場の先輩に対して「初老を迎えられ……」と挨拶状に書いたり、会話で使ったりするのは重大なマナー違反にあたります。状況に応じたスマートな言い換え表現を身につけておくことが不可欠です。
相手を立てつつ、年齢や経験に敬意を払う言い換えとしては、以下のような表現が推奨されます。
- ビジネスの公式文書や挨拶:「ご壮健(ごそうけん)」「ご健勝」「円熟の境地」「経験豊かな」
- 会話での自然な敬意表現:「働き盛りでいらっしゃる」「ベテランの域」「脂が乗っている年代」
- マーケティングや広報文脈:「ミドル世代(40〜50代)」「プレシニア(50代後半〜60代前半)」
なお、国際的なビジネスシーンや英語圏でのやり取りにおける英語表現としては、直接的に"elderly"(高齢の)を使うのは避け、40〜50代であれば"middle-aged"、60歳前後であれば"mature"や"older adults"、少し遠回しに表現するなら"getting on in years"といった配慮あるフレーズを選択するのがグローバルな礼儀とされています。