風向きが劇的に変わり始めたのは、Instagram上で巻き起こった「Matt化」ブームだった。共演した大物芸能人やアスリートたちの写真を、彼独自のタッチでレタッチし、誰もが陶器肌の人形へと変貌していく。このユーモアと圧倒的な技術力に、世間は思わず膝を打った。
最初は異端視していた共演者たちが、こぞって自分を加工してくれと彼に群がる。ABEMAなどの配信番組やSNS空間で、Matt化は一種のエンターテインメントとして消費され、やがて親しみやすさへと昇華していった。自虐でも皮肉でもなく、誰もが自分の理想の姿を遊ぶツールとして定着したとき、「不気味」だったはずの存在は「最先端のポップアイコン」へと反転した。同調圧力が強い社会の中で、他人の視線を一切恐れずに独自の世界観を提示し続けた彼が、いつの間にかゲームのルールを書き換えていたのだ。