日本の刑事ドラマ史において、公安警察という組織は「冷徹で陰湿、裏で糸を引く影の存在」として描かれることが通例だった。その固定観念を豪快に打ち砕いたのが、阿部寛という稀代の俳優が注入した圧倒的な体温と人間味だ。
身長189cmの恵まれた体躯から繰り出されるダイナミックなアクションと、相手の心理を一瞬で射抜く眼光。その一方で、ドラムとの軽妙なやり取りで見せる愛嬌や、食事シーンでの無邪気さ。この極端なギャップを一切の違和感なく成立させたのは、阿部寛の重厚な演技力に他ならない。彼の手によって、野崎守は日本エンタメ界に燦然と輝く「ダークヒーロー的公安像」として結実した。