ゴムの弾性破壊にとどまらず、火炎を伴う大惨事へと発展するのが水素風船爆発事故です。世界各国のパーティー会場や野外イベントにおいて、風船が火の玉となって破裂し、参加者が重度の火傷を負う事故が後を絶ちません。
根本的な原因は、浮揚ガスとして使用されるヘリウムガスと水素の違いにあります。本来、風船を浮かせる用途には不活性ガスで絶対に燃えないヘリウムガスを使用するのが世界の安全基準です。しかし、ヘリウムは天然資源としての希少性が高く価格が高騰しているため、一部の粗悪業者や海外の路上販売者が、安価で容易に生成できる可燃性の水素ガスを不正に使用するケースが散見されます。
科学実験や教育現場で改めて警鐘が鳴らされているのが、風船爆破の危険性に対する過小評価です。至近距離での破裂音は160dBを超える数値を叩き出すことがあり、これは至近距離の散弾銃の発射音(約150〜160dB)に匹敵します。一時的な耳鳴りにとどまらず、内耳の有毛細胞が破壊される「急性音響外傷」を引き起こす症例が医学論文でも報告されています。