さるぼぼを初めて手にした時、多くの人が「なぜ目や口が描かれていないのだろう」と不思議に感じます。この特徴的な姿には、民芸品ならではの細やかな心配りと哲学が宿っています。
最大の理由は、「持ち主の心の状態をそのまま映し出す鏡」として作られている点にあります。自分が嬉しいときにはさるぼぼも微笑んでいるように見え、悲しいときや辛いときには一緒に泣いて寄り添ってくれているように感じられる――表情を描かないことで、持ち主の感情に寄り添う唯一無二の存在になれるのです。
また、特定の人形に顔を描き込むと、その顔立ちによって好みが分かれたり、時には邪気が宿りやすくなったりするという古来の信仰も関係しています。「あえて顔を作らない」こと自体が、純粋な厄除けの力を保つ秘訣とされています。