1984年7月、東池袋のサンシャイン60通り沿いに開館した旧シネマサンシャイン池袋の歴史は、日本の都市型マルチプレックス劇場の先駆けそのものでした。全6スクリーンを擁し、ハリウッド大作から単館系アート作品、さらには池袋という土地柄を反映したアニメーション作品の深夜興行や声優舞台挨拶まで、多種多様なカルチャーを発信し続けてきました。
2019年7月12日、35年におよぶ営業の最終日には多くのファンが劇場前に詰めかけ、別れを惜しむ姿がメディアでも報じられました。当時、ネット上では「映画離れによる赤字閉館ではないか」「ビルの立ち退きトラブルか」といった噂も一部で囁かれましたが、運営会社である佐々木興業の公式発表資料および当時の取材記録から、その真相が明確になっています。
シネマサンシャイン池袋の閉館理由の核心は、1980年代建設のビルにおける耐震基準・設備老朽化への対応と、豊島区が掲げた「国際アート・カルチャー都市構想」に連動したフラッグシップ劇場新設計画でした。老朽化したビルを改修して延命させるのではなく、最新のシネマテクノロジーをゼロから組み込める超大型施設へとスクラップ&ビルドを行う、極めて前向きな経営戦略だったのです。