下新倉氷川八幡神社の境内において、ひときわ強い存在感を放っているのが下新倉富士塚(丸山富士塚)です。江戸時代から昭和初期にかけて庶民の間で爆発的に流行した「富士講」の歴史を今に伝える貴重な遺構であり、和光市指定有形民俗文化財に指定されています。
富士塚とは、霊峰・富士山への登拝が容易ではなかった時代に、「この塚に登ることで本物の富士山に登壇したのと同等のご利益を得られる」として築かれた人工のミニチュア富士山です。下新倉の富士塚は、富士山の溶岩(黒ぼく石)を用いて築かれており、山頂には木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祀る石碑や祠が丁寧に祀られています。
保存状態が極めて良好であり、登山道や合目を示す石造物、講元の記念碑などが往時の信仰熱を鮮明に伝えています。富士山の山開きにあたる初夏や地域の行事に合わせて登拝の機会が設けられることもあり、富士の霊力にあやかりたい参拝者にとって見逃せない歴史的名所です。