悲劇が起きたのは2017年5月4日、大阪・豊中市立伝統芸能館で開催された「DDTプロレスリング」の公式戦でした。高山善廣選手は、勝俣瞬馬選手、樋口和貞選手とタッグを組み、竹下幸之介選手、彰人選手、ヤス・ウラノ選手のトリオと対戦していました。
試合終盤、高山選手が対戦相手のヤス・ウラノ選手に対して繰り出した技が「回転エビ固め(サンセットフリップ)」でした。プロレスの試合では日常的に見られる基本的な丸め込み技の一つですが、相手の体を飛び越えて前転する際、十分な回転角がつかないまま頭頂部からマットに垂直落下する形となりました。
直後にレフェリーが異変を察知し、試合は即座にストップ。高山選手はリング上で自力で動くことができず、緊急搬送されました。搬送先の病院で下された診断は「頸髄損傷および変形性頸椎症」。後に頸椎完全損傷による四肢麻痺状態であることが公表され、プロレス界に激震が走りました。
なぜ熟練のトップレスラーが基本技でここまでの重傷を負ってしまったのか。スポーツ医学の専門家や関係者の分析によると、長年にわたる過酷な激闘で蓄積していた頸椎の変形に加え、身長196cm・体重120kgを超える巨体が頭部一点に落下した際の荷重エネルギーが、頸髄へ不可逆的な損傷を与えたと考えられています。