爆豪勝己の行動原理の根底には、常にNo.1ヒーロー・オールマイトへの純粋な憧れが存在します。しかし、同じ対象に憧れながらも、デクと爆豪ではその捉え方が決定的に異なっていました。
デクが「どんな危機にあっても笑顔で人々を救い出す姿」に希望を見出したのに対し、爆豪が心奪われたのは「どんな絶望的なピンチであっても敵を完膚なきまでに叩きのめし、絶対に勝利する姿」でした。敵連合に拉致された神野の地でも、爆豪は「俺はオールマイトが勝つ姿に心奪われたんだ。誰が何言ってこようとそこだけは曲がらねェ」と断言し、いかなる誘惑や恐怖にも屈しない鋼の意志を見せつけます。
爆豪にとってのヒーローとは、まず「勝つこと」。勝利して悪を討たなければ、誰も守りきれないという徹底したリアリズムが根底にあります。デクの「救けて勝つ」と爆豪の「勝って救ける」。この2つの思想は物語を通じて激しく衝突し、互いに欠けていた視点を補い合うことで、オールマイトという偉大な象徴を超える「二人の最高のヒーロー」の土台へと昇華していきました。
また、彼が名乗るヒーロー名「大爆殺神ダイナマイト」(GREAT EXPLOSION MURDER GOD DYNAMIGHT)の綴りには、憧れの「オールマイト(MIGHT)」の意志が刻まれています。一見すると過激で不穏なネーミングでありながら、その奥には偉大な背中を一生かけて追い続け、超えていくという不退転の決意が込められているのです。