酒さ(Rosacea)やステロイド外用薬の長期使用などに起因する酒さ様皮膚炎は、一般的な乾燥肌や一時的な肌荒れとは病態が大きく異なります。皮膚科学会の臨床報告によると、酒さ患者の皮膚では角質層のバリア機能が著しく低下しており、外部刺激に対する閾値が極端に下がっている状態です。さらに、真皮層に存在する毛細血管が異常に拡張し、血流が増加することで特有の持続的な赤み(毛細血管拡張症)が生じます。
ここで最大の落とし穴となるのが、「赤みを消したい」「乾燥するから潤したい」という一心で行う過剰なスキンケアです。一般向けの高機能化粧水に配合されている美白成分、エイジングケア成分、収れん作用のある植物エキスなどは、健康な肌には有益であっても、バリアが崩壊した酒さ肌にとっては強烈な刺激物へと豹変します。
「保湿しているのにどんどん赤くなる」という現象は、化粧水に含まれる微量な刺激成分が毛細血管を刺激し、神経原性炎症を誘発していることが主な要因です。酒さケアの第一歩は、何かを補うことではなく、血管拡張と炎症の引き金を徹底的に排除することにあります。