首脳部を排除すれば戦争は回避できるのか。多くの軍事アナリストはこの「外科手術的アプローチ」の盲点を警告する。指導者を排除された国家がパニックに陥り、残された現場指揮官が自暴自棄になって核兵器や化学兵器の使用に踏み切るリスク、いわゆる「自動報復の罠」だ。
とりわけ、指揮系統が分断された際に自動的あるいは現場判断で核発射を行うシステム(デッドハンド構想)が存在する場合、指導者の死は即座に全面核戦争の合図となりかねない。国際法上の主権侵害や暗殺の是非を巡る国際世論の反発も避けられず、作戦成功が必ずしも戦略的勝利を意味しないのがこの作戦の恐ろしい本質だ。
外科手術のような一撃で敵を屈服させるという青写真は、往々にして現場の混沌と報復の連鎖によって粉々に打ち砕かれる危険を孕んでいる。