政府が「どちらも正解」とする一方で、自らの組織名や発行物に厳密な規定を設けている機関がある。その代表格が日本銀行だ。1882年の創立以来、日本銀行は定款や組織規程において「にっぽんぎんこう」を正式な呼称として定めている。財布の中にある日本銀行券のローマ字表記が「NIPPON GINKO」となっているのは、この明確な内規に基づく。
郵便切手に印刷される国名表記も万国郵便連合(UPU)の取り決めに沿って「NIPPON」で統一されているほか、オリンピックなどの国際大会で選手団が着用するユニフォームの国名も長らく「NIPPON」が採用されてきた。力強く明瞭な破裂音を含む「ニッポン」は、対外的な公式性や威厳を演出する場面で優先的に選ばれてきた歴史がある。