事件が発生したのは、1999年(平成11年)11月13日土曜日の午後2時半から3時頃のことでした。場所は愛知県名古屋市西区稲生町5丁目のアパート「コーポ高羽」2階の201号室。当時32歳の主婦・高羽奈美子さんが、自宅のリビングで首などを鋭利な刃物で複数箇所刺され、心肺停止の状態で発見されました。
当時、現場には当時わずか2歳だった長男が無傷のまま取り残されていました。母親が血まみれで倒れている傍らで、長男が怯えながら過ごしていた様子は、現場に駆けつけたアパートの大家や警察官によって生々しく証言されています。室内には激しく争った形跡があり、奈美子さんは必死に我が子を守ろうと抵抗したとみられています。
愛知県警の鑑識結果によると、室内のタンスや財布などの金品が奪われた形跡は一切ありませんでした。この点から、金銭目的の強盗ではなく、奈美子さん個人に強い殺意を抱いていた人物による凶行であることが濃厚とされています。住宅街の白昼堂々、わずかな時間帯を狙って侵入した名古屋市西区稲生町事件は、計画性と衝動性が複雑に入り混じった異様な様相を呈していました。