一般の男性が髪を伸ばすと「清潔感がない」「だらしなく見える」と敬遠されがちなロングヘアが、なぜ江口洋介さんにおいては圧倒的な気品と色気として昇華されたのか。その理由は、彼の恵まれた身体的バランスと、内面から滲み出る本物のカルチャー背景にあります。
第一に挙げられるのが、身長185cmという卓越したスタイルと骨格バランスです。首が長く肩幅が広いため、髪を肩口まで伸ばしても頭部が重たく見えず、全身のプロポーションが崩れません。さらに、直線的で意志の強い眉、高い鼻梁、スッキリとした顎のラインという精悍な顔立ちが、長髪の持つフェミニンなニュアンスを中和し、独自のマスキュリニティ(男らしさ)へと変換していました。
第二の決定的な要因は、彼自身のパーソナリティに根ざした「ロックスピリット」です。もともと江口さんは映画『湘南爆走族』(1987年)のリーゼントヘアで注目を集めましたが、プライベートではギターを愛し、ニルヴァーナやガンズ・アンド・ローゼズといったUS/UKロックに傾倒。シンガーソングライターとしても精力的に音楽活動を行っていました。当時のインタビューでも「誰かに言われて伸ばしたのではなく、自分が好きな音楽やカルチャーに自然に寄り添った結果」と語っており、他人の目を気にした流行の模倣ではなく、自己のアイデンティティとしての長髪だったからこそ、偽物のない自然な説得力を放っていたのです。