『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦氏が生み出した独特の身体表現、通称「ジョジョ立ち」。その原点を辿ると、古典絵画や彫刻に見られる「コントラポスト(重心を片脚に偏らせ、骨盤と肩の傾きを交差させる技法)」に行き着きます。荒木氏は自著や単独インタビューの場において、イタリア・フィレンツェで対面したミケランジェロ彫刻から多大なインスピレーションを受けたと一貫して語っています。
ダビデ像に代表されるルネサンス彫刻は、静止していながら筋肉の緊張と弛緩のコントラストによって圧倒的な「動意」を放ちます。荒木氏は週刊少年ジャンプという平面的かつ白黒印刷の制限の中で、キャラクターの生命力や威圧感を最大限に読者へ伝える手法として、この彫刻的ねじれを漫画のコマへ移植しました。これが「ジョジョ立ちの由来と理由」の根底に流れる哲学的必然です。
さらに見逃せないのが、ファッション誌ポーズ影響です。荒木氏は1980年代のカルチャーアイコンであったトニー・ヴィラモンテス(Tony Viramontes)やアントニオ・ロペスといった伝説的イラストレーター、さらには『Vogue』『Harper's BAZAAR』といったモード誌のハイファッションモデルが見せる先鋭的なポージングを漫画表現へと昇華させました。彫刻の重量感とファッションモデルのしなやかなデフォルメが結合した結果、解剖学の境界線を揺るがす「ジョジョ立ち元ネタ」の文法が完成したのです。