水泳という過酷な競技を極めた者たちの思考力は、学術や戦術分析の領域でも異彩を放つ。リオ五輪の金メダリストである萩野公介は、現役引退後に大学院へ進学し、学問を通じてスポーツと社会の結びつきを再探求する道を選んだ。泳ぐことの意味を誰よりも深く自問自答し続けた彼だからこそ紡ぎ出せる言葉には、従来の体育会系像を根底から覆す知的な深みがある。
また、「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」の名言で知られる松田丈志は、卓越した言語化能力を武器にメディア解説やスポーツジャーナリズムの第一線で確固たる地位を築いた。彼の解説は、単なる感情論に終始せず、ストローク数やペース配分の緻密な分析に基づいている。指導者としての視点とメディア人としての客観性を両立させたその立ち振る舞いは、後輩たちにとって一つの到達点となっている。