大洋豊海独身寮が役目を終えた最大の要因は、水産業界の再編と企業の資産ポートフォリオ見直しです。大洋漁業は1993年に「マルハ」へ社名変更し、2007年にはニチロと経営統合して「マルハニチロ」が発足しました。この一連の企業統合の過程で、全国に点在していた自社保有寮や遊休不動産の徹底的な統廃合が進められました。
加えて、1981年以前の旧耐震基準で建てられた施設の老朽化、共同生活を前提とした間取りが若手社員のライフスタイルに合わなくなったことも重なりました。企業の福利厚生は「自社保有寮の提供」から「借上社宅や家賃補助制度」へとシフトし、寮としての維持意義が薄れた結果、解体および跡地売却・再開発への参画という合理的な経営判断が下されたのです。