この建造物を語る上で外せないのが、銘菓の歴史と深く結びついた背景だ。かつて千鳥屋創業者・原田ツユが築き上げた商いの精神は、今も株式会社千鳥屋本家の屋台骨として息づいている。ビル自体もまた、その歴史的価値を象徴する意匠を随所に留めており、昭和初期の美意識を感じさせる素晴らしい佇まいを誇る。
重厚なスクラッチタイルと緩やかな曲線を描くアーチ窓。いわゆるレトロモダン建築の傑作として高い評価を受けてきた。その文化的価値が認められ、地域のシンボルとして長年登録有形文化財に指定されるべきとの声も多く寄せられていたほどだ。単なる商業ビルを超えた存在感が、人々を引きつけてやまない。