手続きを進める前に、窓口で最も混同されやすい専門用語の定義を整理しておきましょう。窓口の申請書やコンビニの操作画面で戸惑わないための予備知識です。
まず、公的機関から「戸籍謄本を持ってきてください」と指示された場合、正式名称は「戸籍全部事項証明書」を指します。行政事務がコンピューター化される以前の紙管理時代に原本をそのまま複写していたことから「謄本(とうほん)」と呼ばれていましたが、磁気ディスク化された現在では「全部事項証明書」が法的な正式名称です。どちらも効力は全く同じであり、提出先で「謄本」と指定されていれば「戸籍全部事項証明書」を提出して間違いありません。
一方、「戸籍謄本と抄本の違い」は記載される人数の範囲にあります。
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書):その戸籍に記載されている家族全員(筆頭者、配偶者、未婚の子など)の身分事項がすべて記載されたもの。
- 戸籍抄本(戸籍個人事項証明書):その戸籍に属する人のうち、特定の「一人だけ(または一部の人)」を抜き出して記載したもの。
パスポートの新規申請(個人名義)など一部の手続きでは抄本で足りる場合もありますが、相続手続き、遺留分確認、公正証書作成など家族関係全体の立証が求められる局面では、必ず全員が記載された「謄本(全部事項証明書)」が必要になります。迷った場合は「全部事項証明書」を取得しておくのが安全策です。