傘寿を越えてなお、西田健の演劇に対する探求心は衰えを知らない。盟友・団時朗をはじめとするかつての仲間たちの旅立ちを見送りながらも、彼が語る言葉には孤高の表現者としての静かな覚悟が宿る。関係者への取材によれば、現在の西田は作品の規模に囚われることなく、自らの魂を揺さぶる脚本との出会いを何よりも大切にしているという。
撮影現場での西田は、後輩俳優やスタッフに対して常に穏やかで紳士的だ。しかし、ひとたびカメラが回り始めると、一瞬で役の深淵へと潜り込む集中力を見せ、周囲を息を呑ませる。私生活では読書と散策を愛し、日々の生活を丁寧に紡ぎながら芝居の肥やしとする。年輪を重ねた人間だけが醸し出せるその佇まいこそが、近年の出演作における静かな迫力の源泉泉となっている。