帰国したふたりを待っていたのは、想像を絶する熱狂だった。成田空港にはファンが殺到し、凱旋コンサートには数万人が詰めかける。熱気は音楽界にも波及した。藤井フミヤ・尚之兄弟が手掛けた楽曲「白い雲のように」はミリオンセラーを記録。どこへ行っても彼らの歌声が流れ、関連書籍は飛ぶように売れた。
だが、その狂騒の裏で違和感も膨らんでいた。彼らの本質はあくまでお笑いコンビである。求められるのはアイドル的な笑顔と旅の武勇伝ばかり。コントや漫才を磨く時間はなく、消費のスピードだけが加速していく。自らの意志とは無関係に巨大化していく虚像に、ふたりは人知れず苛まれ続けていた。