1990年代、彼が提案したシンプルで心地よい食卓やインテリア、そして日常を愛でる美的感覚は、大量消費社会に疲弊していた当時の日本人に深い衝撃を与えた。恵比寿や代官山でのカフェプロデュースは単なる商業的成功にとどまらず、若者たちのライフスタイルそのものを塗り替える一大文化ムーブメントとなった。
だが2026年の現在、彼が情熱を傾けているのは都市の洗練された空間ではない。長野県北部の山あいに佇む小さな村で展開されている「地域還元型エコ・リトリート」だ。築100年を超える古民家を自らの手で再生し、地元の有機野菜とフランス伝統の保存食技術を融合させた新たな試みは、感度の高い若者やクリエイターを全国から引き寄せている。