本作の魅力を語る上で欠かせないのが、主人公・野原しんのすけを演じた声優の矢島晶子によるパフォーマンスだ。初期特有の少し低めでハスキーな声質と独特のイントネーションは、キャラクターの無邪気さと生意気さを絶妙なバランスで同居させていた。
世界存亡の危機という途方もない状況に置かれても、マイペースなマイペースさを貫く姿勢。どんなに強力な敵に対しても臆することなく自分のペースに巻き込んでいく姿は、矢島の声の演技によって唯一無二のリアリティと魅力を獲得した。
憧れのアクション仮面と対面した瞬間の少年らしい純粋な眼差しと、オトナを翻弄する斜め上の言動。そのコントラストが、映画全体のテンポ感を劇的に引き上げている。