エジプト文明の美しき神聖文字、ヒエログリフ。長らく呪術的な絵模様だと信じられていたこの記号群の封印を解いたのは、1799年に発見されたロゼッタ・ストーンだった。ギリシャ文字と民衆文字、そしてヒエログリフが並記されたこの漆黒の玄武岩碑文は、失われた古代言語への決定的な鍵となった。
天才言語学者ジャン=フランソワ・シャンポリオンは、王の名を囲む楕円形の枠「カートゥーシュ」に着目した。音を表す表音文字の性質を見抜いた彼の鋭い洞察により、千年以上眠り続けていた古代エジプト人の声が再び響き渡ることになった。彼の情熱は考古学のあり方を根本から塗り替え、今なお語り継がれている。