NetflixやDisney+といったサブスクリプション配信サービスの普及は、世界中のリビングルームをパーソナルなシアターに変えた。いつでも、どこでも、倍速ですら鑑賞できる手軽さの前で、映画興行産業は一時、その存在意義を厳しく問われた。
しかし、東宝株式会社をはじめとするエンタメの巨人たちは、単なる受動的な上映からの脱皮を図った。ライブエンターテインメント産業のノウハウを貪欲に取り込み、劇場を「その時間、その場所にいなければ手に入らない体験」を提供する聖域へと再構築したのだ。利便性を極めた配信に対し、フィジカルな劇場は身体性と共時性という唯一無二の武器で反撃に出ている。