TikTokやX(旧ツイッター)を見渡すと、極端に単純化されたイラストや、一見すると中身のない短いフレーズがタイムラインを埋め尽くしている。かつて流行したあの脱力感あふれるキャラクターが、形を変えて再評価されているのだ。難しいニュースを解説する動画よりも、「何も考えていない」ことをアピールするコンテンツの方が圧倒的なエンゲージメントを獲得する。この奇妙な逆転現象は、現在の日本社会が抱える精神的な疲労感を如実に物語っている。
「賢く見せること」に疲れたのだと、都内の大学に通う21歳の男子学生は語る。就活でもSNSでも、常に論理的で生産的であることを求められる。その反動として、何にも縛られない無垢な状態への憧れが生まれている。