SNSや医療相談掲示板では、「内科で処方された総合感冒薬を飲み切ったのに、喉の上のイガイガだけが消えない」「常に痰が喉にへばりついていて、1日に何十回も『ンッ、ンッ』と咳払いをしてしまい周囲の目が気になる」といった悲痛な声が後を絶ちません。
この不快な現象の主たる要因が、後鼻漏(こうびろう)による痰の絡みです。通常、鼻腔や上咽頭から分泌される粘液は無意識のうちに胃へと流れ落ちていますが、上咽頭粘膜が炎症によって腫れ上がると分泌液の粘度が異常に高まります。その結果、粘液が上咽頭の壁に接着剤のように張り付き、異物感として知覚され続けるのです。
日本病巣疾患研究会や耳鼻咽喉科専門医の臨床報告によると、喉の奥をいくら直接観察しても異常が見当たらない「咽喉頭異常感症」と診断された患者の多くが、詳細な電子内視鏡(ファイバースコープ)検査を行うと、上咽頭粘膜に顕著な発赤や粘液の付着、接触出血を起こしている実態が確認されています。つまり、口を開けて見える中咽頭(扁桃腺付近)だけを観察する一般的な問診では、病巣が見落とされやすいという構造的な盲点が存在するのです。