寺院の世界で最も不透明とされがちなのが、坊守の給料や年収事情です。「寺院に嫁げば優雅な暮らしができる」という世間のイメージとは裏腹に、その実態は寺院ごとの財政規模によって極端な二極化を見せています。
寺院は税法上「宗教法人」として運営されており、住職や坊守に支払われる金銭は「役員報酬」または「給与手当」として処理されます。寺院会計における坊守の経済的処遇は、大きく以下の3つのパターンに分類されます。
- 都市部・大規模門徒寺院(門徒数300軒以上):
宗教法人から正規の役員報酬が支給されます。月額20万円〜35万円程度(年収300万〜500万円前後)が計上され、社会保険や寺院共済が完備されているケースです。寺務専従者としての待遇が成立しています。 - 中規模寺院(門徒数100〜200軒前後):
住職の役員報酬のみを一括支給とし、坊守個人への給与は「専従者給与」として月額8万円〜15万円程度にとどまるか、家計内での生活費分配という形を取るケースが一般的です。 - 地方・過疎地・小規模寺院(門徒数50軒未満):
寺院単体の収入だけでは生活が成り立たないため、坊守の給与は「実質無給(0円)」の奉仕労働となる事例が少なくありません。生活防衛のため、平日は一般企業や公務員、看護師・教員などとして外部で働く「兼業坊守」が現在の主流となっています。
教団関係団体の実態調査や寺院関係者の証言によると、全国の一般寺院のうち専従の坊守給与を満額支給できている寺院は全体の4割前後にすぎず、残る6割は兼業収入や無給労働によって寺院機能が辛うじて維持されているのがリアルな現場構造です。