物理的な「長さ」も無視できない要素だ。芥川賞は短編から中編(原稿用紙で100枚〜250枚程度)が主流である。限られた文字数の中で、どれだけ濃密な世界観や新しい言語表現を提示できるかが勝負となる。
これに対して直木賞は、長編小説や、一冊にまとまった連作短編集が対象だ。読者を飽きさせずに最後まで引っ張る構成力や、物語のスケール感が評価の対象になる。また、それぞれの選考委員の顔ぶれも異なるため、選考会での議論の方向性も全く違う。芥川賞の選考会が「文学としての新しさ」を巡って時に紛糾するのに対し、直木賞の選考会は「エンタメとしての完成度や市場性」を巡ってシビアな議論が交わされる。