日本の演芸シーンを語る上で、巨大なインフラを誇る吉本興業の存在を避けて通ることはできない。全国に常設劇場を持ち、若手を競わせるピラミッド型の育成システムは盤石そのものだ。漫才劇場から次々と賞レースの決勝へと送り出される圧倒的な手数は、他を寄せ付けないスケールメリットを物語る。
だが、お笑い界の多様性を支えているのは吉本の対極に位置する個性派プロダクションである。とりわけプロダクション人力舎は、徹底して個人の作家性と独特のシュールさを重んじる独自のカルチャーを培ってきた。養成所時代から型にはめず、芸人自身の歪なこだわりを愛でる土壌が、奇想天外な世界観を持つコント師を輩出し続ける原動力となっている。
さらに、少数精鋭で高い好感度と盤石のプロデュース力を誇るグレープカンパニーや、インディーズライブシーンから叩き上げられたマセキ芸能社など、各事務所のカラーが明確に分かれている。事務所ごとの哲学と育成論の違いが、舞台上で繰り広げられる芸の質感にそのまま反映されている。