当時の報道やインターネット上の熱量を振り返ると、この騒動は日本のウェブ空間における「集合知によるファクトチェック」の極めて象徴的な事例でした。
特番『金スマ』の放映中から、視聴者の間では「あまりに美談として完成されすぎている」という違和感が囁かれていました。当時の掲示板やSNSでは、以下のような生々しい検証がリアルタイムで行われていました。
- 看護記録と百田氏の記述の照合:たかじん氏の生前の公式ブログ、病院関係者の証言、書籍内で百田氏が記した「緊迫の看病シーン」の日時が矛盾している点が次々と特定された。
- 過去ログのサルベージ:さくら氏が過去に使用していたハンドルネームやブログ、Facebookの写真データが復元され、たかじん氏との出会いの経緯が書籍と大幅に異なる事実が浮き彫りになった。
- 読者の失望と怒り:『永遠の0』などで百田氏の筆力に期待していた読者層からも、「亡くなったたかじんさんを食い物にしている」「実の家族を一方的に貶めるのはノンフィクション作家として許されない」という厳しい批判が相次いだ。
当時のテレビメディアは、幻冬舎や大手芸能プロ、有力タレントへの配慮からこの疑惑を一切報じない「報道協定」のような沈黙を保ちました。しかし、週刊誌の徹底取材とネット上の拡散がテレビの沈黙を圧倒し、結果として大手メディアの信頼性失墜をも招く結果となりました。