ここ数年、日本の若者たちの間で吹き荒れている昭和レトロやY2K(2000年代前後)カルチャーのブーム。これが、陸奥A子作品への再評価に拍車をかけている。TikTokやInstagramでは、彼女のイラストをスマートフォンの壁紙に設定したり、古本屋で見つけた当時のコミックスを「エモい」アイテムとして投稿したりする10代・20代が急増中だ。
便利すぎるデジタル社会に生きる現代の若者にとって、手紙のやり取りや、固定電話での緊張する通話といった陸奥作品に描かれる「もどかしい恋愛模様」は、新鮮で、どこかロマンチックに映るのだろう。時代がどれだけ進んでも、人を好きになる瞬間の心の揺れ動きは変わらないことを、彼女の漫画は教えてくれる。