どじょう料理に対して否定的な感想を持つ人の声を分析すると、その原因は単なる個人の好みの問題だけではなく、食材特有の性質や調理工程に起因していることが分かります。
第一の理由は、川魚特有の泥臭さです。どじょうは泥の中に生息する淡水魚であるため、清水で十分な泥抜きを行っていない個体や、下処理が甘い調理法では強い生臭さが前面に出てしまいます。特に下処理の技術が確立されていない居酒屋などで初めて口にした場合、強烈な泥臭さがトラウマになってしまうケースが目立ちます。
第二に挙げられるのが、内臓の苦味と小骨の障りです。丸ごと調理されたどじょうは、肝のほろ苦さが特徴ですが、魚の内臓特有のビターな後味に慣れていない人には「エグみ」として認識されがちです。また、しっかりと下煮して柔らかく処理されていない小骨が喉や舌に当たる感触も、食べにくさを助長する大きな要因です。
第三に、細長い魚がそのまま鍋に並ぶビジュアルへの心理的抵抗感があります。頭から尾まで原形をとどめた状態で浅い鉄鍋にぎっしり敷き詰められる光景は、見た目重視の現代の食文化においてハードルが高く感じられることがあります。
第四に、甘辛い割り下の味付けが合わないという点です。江戸前のどじょう鍋は濃口醤油とみりん、砂糖を使ったかなり濃厚な甘辛味仕立てとなっており、薄味を好む地域出身者には濃すぎると感じられる場面があります。