実は、今回の映画化の背景には、若年層の間での「再ブーム」がある。数年前からTikTokなどの動画プラットフォームを中心に、本作の印象的なフレーズや感想を共有する投稿が急増。これが呼び水となり、原作小説が再び書店で平積みされる現象が起きていた。
タイパ(タイムパフォーマンス)が重視される時代にあって、じっくりと読者の心に染み入るような住野よるの文体は、逆に新鮮なものとして受け止められたようだ。デジタルなコミュニケーションに疲れた若者たちが求めたのは、まさにこの物語が持つ「言葉の温度」だったのかもしれない。