旅館浴衣を手にした際、真っ先に生じる疑問が「帯の結び目を体の前に置くのか、後ろに回すのか」という点です。結論から言うと、旅館の浴衣の帯は「前結び(または斜め前)」にするのが正解です。
夏祭りなどで着用する外出用の浴衣では、後ろ姿を華やかに見せるために半幅帯や兵児帯を背中側で結ぶのが一般的です。しかし、温泉旅館の浴衣は本来「湯上がりのくつろぎ着」「寝巻き」としての役割を持っています。背中側に分厚い結び目を作ってしまうと、座椅子にもたれたり布団に横になったりした際に結び目が背中に当たって痛みを感じ、快適に休むことができません。
そのため、旅館浴衣の帯は前か後ろかで迷った際は、正面やや左右どちらかに少しずらした「斜め前」で結ぶのが最もスマートです。真ん中正面にリボンや結び目を持ってくると幼い印象や平坦な見栄えになりやすいため、脇骨のやや内側あたりに結び目をスライドさせることで、粋でこなれた大人の着こなしが完成します。