この二次元のアイコンを三次元の現実世界に降臨させ、空前のメガヒットを記録したのが、かつて存在したコンビニチェーン「サークルK・サンクス」でした。1993年、同社が「チビ太のおでん」としてレジ横什器に投入した商品は、当時のコンビニ業界に大きな衝撃を与えました。
しかし、コンビニ商品としての「チビ太のおでん 具材」は、大量調理と串打ちの強度を担保するため、アニメの公式設定とは異なる独自のアレンジが施されていました。サークルK版の具材は、上から「三角こんにゃく」「うずら玉子入りさつま揚げ(または特製がんも)」「焼ちくわ」という構成でした。真ん中をうずら玉子入りの練り物にすることで、一口噛んだときの満足感と断面の美しさを演出し、一番下のちくわで串全体の抜け落ちを防ぐという、食品工学的な計算が尽くされていたのです。
なぜこれほど愛された商品が姿を消すことになったのか。その販売終了の理由には、コンビニ業界全体を襲った構造変化が深く関係しています。
第1の要因は、2016年秋から進められたユニー・グループ・ホールディングスとファミリーマートの経営統合です。看板替えに伴う商品統合の過程で、レジ横ホットスナックの効率化が進められました。そして第2の決定的要因が、2018年以降にコンビニ各社で加速した「レジ横オープン什器(おでん鍋)の撤退・縮小」です。店舗スタッフの長時間にわたる仕込み・清掃負担の軽減、廃棄ロス削減、衛生管理の厳格化に伴い、従来の蓋なし鍋で煮込む販売スタイルから、密閉パウチ型商品への切り替えが一気に進みました。串打ちのチビ太のおでんは、この近代化オペレーションの波の中で惜しまれつつ店頭から退くこととなったのです。