南野陽子というアイコンを語る上で外せないのが、初期の代表作『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』だ。鉄仮面を被った少女・麻宮サキ役で見せた凛とした強さと孤独な佇まいは、彼女を一躍国民的スターへと押し上げた。しかし、そこからのイメージ脱却とアーティストとしてのステップアップは、陣営にとって極めて重要な課題でもあった。
その転換点において決定的な役割を果たしたのが、江崎グリコ「ポッキー」および「アーモンドチョコレート」のCMタイアップである。テレビ画面から流れる『秋からも、そばにいて』の甘美な旋律と、秋風に髪を揺らしながら微笑む彼女の映像は、お茶の間に強烈なインパクトを残した。戦う少女から大人の女性へ。映像と音楽が見事な相乗効果を発揮し、楽曲のヒットを後押しすると同時に、彼女のパブリックイメージをより優雅で洗練されたものへと昇華させたのだ。