企業研修の最前線に立つビジネス研修・人材育成業界でも、この問題は頻繁に取り上げられている。マナーコンサルタントの西出ひろ子氏をはじめとする実務指導の専門家たちは、現場の新入社員や中堅リーダーに対して、「左様ですか」と「左様でございます」の決定的な機能差を徹底して指導している。
決定的な違いは、「相手の言葉をどう受け止めているか」という姿勢の深さにある。「左様でございます」は、相手の提示した事実や状況を全面的に受け入れ、強い敬意とともに肯定する完全な謙譲・丁寧表現だ。一方で「左様ですか」は、相手への敬意が中途半端なまま疑問符を投げかける形になり、どこか相手の発言を疑っているかのような、あるいは軽視しているかのようなニュアンスを帯びてしまう。
もし相槌として「左様」という語彙を用いるのであれば、最低でも「左様でございますか」「左様でございましたか」と、語尾を完全に整えなければならない。語尾の数文字を端折るだけで、敬意の絶対値がゼロどころかマイナスに転落するというのが、現代マナーの冷徹な現実である。