映画『ジョーカー』において、ホアキン・フェニックスが見せた怪演は世界中に衝撃を与えた。孤独と社会からの断絶によって極限状態に追い込まれた主人公アーサーの瞳は、物語が進むにつれて生気を失い、恐ろしいまでに固定されていく。狂気へと変貌を遂げるプロセスが、目の表情変化だけで雄弁に語られていた。
対する日本の映画界では、東映が制作を手掛けた『孤狼の血』における役所広司の凄みが際立つ。暴力と正義の境界線を踏み越える破天荒な刑事を演じた彼は、泥臭い警察ドラマの枠組みを超えた緊迫感を創出した。彼が見せる据わった眼差しは、非情な極道社会を生き抜いてきた男の覚悟と、内に秘めた凶暴性を一瞬で伝えてみせる。