巡拝のハイライトとして絶対に外せないのが、国宝の五重塔を擁する格式高い寺院、明王院だ。聖徳太子の創建とも伝えられるこの名刹は、一歩境内に入ると身が引き締まるような凛とした空気に包まれる。そして、福山の巡礼において何より特徴的なのが、通常の七福神に一柱を加えた「八神」を祀る文化だ。なかでも商売繁盛と大漁満足の神として崇められる恵比寿神は、地域の生活と信仰の象徴として圧倒的な存在感を放っている。
なぜ「七」ではなく「八」なのか。八は古来より末広がりを意味し、無限の発展を表す数字。この地では恵比寿神の豊かな笑みが、訪れる人々に無量の福をもたらすと信じられてきた。境内の静寂の中で静かに手を合わせると、日常の雑騒がすっと消えていくような感覚に襲われる。