皇居における宮中三殿の場所は、旧江戸城本丸の西側、吹上御苑の東南に位置する鬱蒼とした木立ちの中にあります。一般参観コースや乾通りの一般公開ルートからは完全に遮断されており、外部からその全貌を目視することはできません。周囲は堅固な塀と深い緑に囲まれ、外界の喧騒から隔絶された静寂が広がっています。
この地に三殿が造営された歴史と由来は、明治維新期の東京遷都に始まります。京都御所時代、皇室の祭祀空間は御所内の各所に分散して配置されていましたが、明治天皇の東京移幸に伴い、皇城内へ新たな祭祀拠点を集約して整える計画が進められました。1888年(明治21年)の皇居(明治宮殿)完成に先立ち、現在地に三つの社殿が同一敷地内へ並び立つ形で創建されました。
第二次世界大戦末期の空襲では、明治宮殿の主要施設が焼失する悲劇に見舞われましたが、宮中三殿は奇跡的に類焼を免れ、戦前の厳かな建築様式を今に伝えています。伝統的な白木造りの入母屋造や神明造の意匠を取り入れた社殿は、まさに千数百年にわたる皇室の精神史をそのまま具現化した空間です。