食中毒事件の痛手から立ち直る間もなく、グループにとどめを刺す第二の事件が勃発します。2001年秋、日本国内で初めて牛海綿状脳症(BSE/狂牛病)の感染牛が確認され、国産牛肉の消費が激減。政府は畜産農家や流通業者を救済するため、国産牛肉を国費で買い取る緊急対策事業を立ち上げました。
この国の救済制度を悪用したのが、グループ中核企業のひとつである雪印食品でした。同社関西ミートセンターの幹部らは、在庫として抱えていたオーストラリア産の輸入牛肉を国産牛の段ボール箱に詰め替え、製造日や産地を偽装して補助金を不正請求したのです。いわゆる「BSE対策詐欺」でした。
この不正を白日の下に晒したのが、取引先であった兵庫県西宮市の倉庫会社「西宮冷蔵」の代表・水谷洋一氏による命がけの内部告発です。偽装工作への協力を強要された水谷社長は、「これ以上、消費者を騙す犯罪に荷担できない」と告発を決意。メディアや行政に事実を打ち明けました。
食中毒事件からわずか1年半。安全への誓いを立てたはずの雪印グループが、今度は組織的な詐欺犯罪に手を染めていた事実に日本中は言葉を失いました。告発を受けた雪印食品は信用を完全に喪失し、2002年4月、詐欺容疑での強制捜査とともに会社解散・廃業という破滅の道を歩むこととなりました。