新聞四コマ漫画からテレビ画面へと舞台を移した1969年以降、この独特なシルエットは動くアニメーションとして大きな課題に直面することになる。テレビアニメの制作を手掛ける株式会社エイケンと、放送局であるフジテレビのタッグによって、毎週変わらぬクオリティでお茶の間に届けられてきたアニメ「サザエさん」。
アニメーション制作業界において、立体物として矛盾の多いキャラクターを多角的に動かす作業は困難を極める。サザエの頭部は、正面から見ても斜めから見ても、常にあの「3つのコブ」が視覚的に破綻しないよう緻密な作画マニュアルが設定されている。立体としての論理性を追求しすぎるとサザエさんらしさが失われ、逆に平面に寄りすぎると動きの滑らかさが失われる。歴代の作画監督たちは、長年の経験と感覚を研ぎ澄ませることで、視覚的な心地よさとキャラクターの同一性を両立させてきた。これぞまさに、日本の手描きアニメの歴史が育んだ「職人技」の賜物と言える。