銭湯が持つ独特のノスタルジーと人間模様は、これまで多くの映像作品を彩ってきた。俳優の阿部寛が古代ローマ人の設計技師を好演して空前の銭湯ブームを巻き起こした映画『テルマエ・ロマエ』において、日本の銭湯が持つ独自の情緒と様式美は日本国内にとどまらず世界中の観客に強いインパクトを与えた。
さらに、入浴という日常の行為を一つの文化的な作法として描き出した映画『湯道』など、近年の日本映画界では銭湯を舞台にした味わい深いヒューマンドラマが相次いで制作されている。こうした作品に描かれる湯気越しの交流や、言葉を交わさずとも通じ合う人情の温もりは、まさにこの場所で日常的に繰り広げられてきた光景そのものである。