小鳥遊を「たかなし」と読む最大の理由は、天敵である「鷹(タカ)」と小鳥の関係性を描いた頓智(とんち・判じ物)にあります。漢字をそのまま音訓読みするのではなく、描かれた情景から意味を推理して読ませる特殊な当て字です。
鷹は鳥類の中でも食物連鎖の頂点に近い猛禽類であり、雀などの小鳥にとっては命を脅かす天敵です。もし周囲に鷹がいると、小鳥は襲われないよう木の陰に身を潜め、警戒を怠りません。しかし、「鷹がいない(鷹無し)」状態であれば、小鳥たちは天敵を恐れることなく空や庭先で自由に遊び回ることができます。
つまり、「小鳥が遊んでいる」=「そこには鷹がいない」=「たかなし」という、詩情豊かな連想ゲームによって成立しています。直接的な文字を使わずに情景描写から言葉を浮かび上がらせる手法は、平安時代から続く和歌の「見立て」や、江戸時代に庶民の間で大流行した「判じ絵(謎解き絵)」にも通じる、極めて高度な日本的言語感覚の産物です。