暖簾をくぐると、真っ先に飛び込んでくるのは目の前で黄金色の油が波打つ大鍋だ。注文を受けてから衣をくぐらせ、油へと滑り込ませる一連の無駄のない所作。まるで舞台鑑賞のような臨場感が、客席全体を包み込んでいる。
多くの天ぷら店が一括で皿に盛って提供するのに対し、ここでは職人が揚がり具合を見極め、一品一品を出来立ての状態で目の前の金属バットへと置いていく。海老がジュッと音を立てる瞬間の熱気、衣のサクサク感、そして閉じ込められた素材の甘み。この「数秒前まで油の中にいた」という圧倒的な鮮度こそが、舌を唸らせる最大の要因である。