真治さんの肉体を根本から変えてしまっていた正体、それは体内で生じた極端なホルモンバランスの崩壊でした。精査の結果として判明した確定病名は、「エストロゲン産生副腎腫瘍」です。
副腎は腎臓の上部に位置する小さな内分泌器官で、生命維持に必要なステロイドホルモンを分泌しています。通常、男性の体内でもごく微量の女性ホルモン(エストロゲン)は作られていますが、真治さんの副腎に発生した腫瘍は、自律的に大量のエストロゲンを異常産生し続ける性質を持っていました。
過剰に血中へ放出されたエストロゲンは、男性ホルモンであるテストステロンの働きを強力に抑制。その結果、脳や全身の受容体が「女性化」のシグナルを受け取り続け、乳腺の発達や体毛の減少、皮下脂肪の増加といった劇的な身体変化を引き起こしていたのです。