1990年代、バッド・ボーイ・レコーズは単なるレコード会社ではなかった。それはカルチャーそのものであり、全米のストリートとメインストリームを繋ぐ巨大なヒップホップ帝国だった。数々のスターを輩出し、ゴールドチェーンとデザイナーズブランドで飾られたその世界観は、世界のポップカルチャーを牽引した。
だが、帝国の黄金期を支えた富と権力は、告発者たちによれば、長年にわたる暴行や不正行為の隠蔽工作にも使われていたという。過去の交際相手による民事訴訟を口火として、次々と溢れ出た被害証言。バッド・ボーイ・レコーズの名声は一夜にして墜ち、企業スポンサーや提携ブランドは雪崩を打って撤退を決めた。カルチャーの象徴だったレーベルは今、法廷での裁きを待つ身となっている。