毎年数百編に及ぶ応募原稿の中から、最終選考のテーブルに載る作品はわずか数編に過ぎません。その過酷な絞り込みを担うのが、複数のプロ作家や評論家で構成される下読み(予備選考)システムです。
下読み段階では、文章力やプロットの整合性はもちろんのこと、「先行作の焼き直しになっていないか」「序盤で読者を引き込む筆力があるか」といった厳しい選考基準で精査されます。基礎技術の綻びや展開の停滞は即座に見抜かれ、ふるい落とされていきます。
そして迎える最終選考会では、現役屈指のミステリー作家たちが選考委員として一堂に会します。公開される選考委員の講評は、文壇で最も辛口かつ熱を帯びた議論として知られています。「筆力は認めるが謎解きの必然性が薄い」「構成に粗はあるが、それを補って余りある熱量とオリジナリティがある」など、各委員の美学が衝突。時には深夜まで及ぶ激論の末、全員を唸らせる唯一無二の作品だけが栄冠を掴み取ります。